ルックバック(全1巻) あらすじ&感想
今回はチェンソーマンの作者である藤本タツキさんの長編読み切り、ルックバックの感想を書いてみます。
ジャンプ+で公開された当初はかなり話題になったらしく、私はテレビの特集を見てこの作品の存在を知りました。
単行本一冊がまるまる一作の読み切りとなっています。

こういう形態は凄く好きです!
【あらすじ】
学年新聞に掲載する漫画が好評な事で、自分に絶対的な自信を持っていた小学生・藤野は、不登校中の同級生・京本の描く漫画の上手さに衝撃を受ける。
京本に負けまいと必死で練習して画力を磨く藤野だが、ある時限界を感じ漫画を描くことをやめてしまう。
そんな時に初めて顔を合わせた京本は、藤野を「先生」と呼び、ファンだと告白してくるのだった。
【感想】
凄く、読み手によって感想の変わる作品だと思います。
というのも、主人公の藤野の感情が言葉で表されることがなく、映像で読み手が感じ取るしかないからです。
例えば、冒頭の、藤野が京本にファンだと言われてどれほど嬉しかったのか?
これはその後の藤野の行動で読み取れますが、読み手に同様の経験があれば飛躍的に同調率が上がると思います。
それにしても藤野が京本に対して抱いていた感情はとても複雑です。
その複雑なそれぞれの感情にどれだけ共感出来るかも、この作品の評価を左右するポイントとなりそうです。
ある意味難解ですが、実際に嬉しいときに言葉で「嬉しい」と思うことはあまりないわけで、言葉を省いたことでより主観的に没頭しやすくなっている気もします。
逆に、さらっと読みやすくもなっているのかもしれません。
さらっと読んでしまえば、普通に良い話だったで終わるのかもしれません。
しかし一度没入してしまえばここまで心を抉る話はなく、
なんだろう…読んだ直後はそうでもなかったんですが、何だか余韻が凄くて…
この作品の事を考えると、ずっと胸のあたりが詰まってる感じがします。
映像的な作品でしたね。映画を見ているようでした。
キラキラした青春時代を感じ取れますし、さらに今を生きる力を分けてもらえる感じもしました。
特に、制作活動をされている大人の方に是非とも読んで頂きたい作品です!
読んで頂きありがとうございました!